梅の花

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入社試験の論作文

(パーソナリティー)
@ 「スパイスと私」

A 「当社への提言」

就職に際しては、自分の過去・現在・未来、つまり、「業績」「長所」「抱負」を整理しておく必要があります。……それは、現在、エントリーシートに書くことから始まります。

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「出張講座」(エントリーシートの書き方)
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作文打出の小づち
総もくじ
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@ 「スパイスと私」

(時間60分、字数800〜1,000字 : S.B.食品、他、類題多数)

 私は牛肉が好きだ。アパート住まいで自炊をしているから、作る労をいとわなければ好きなものを食べることができる。とはいっても、仕送りを受けている身では毎度ステーキというわけにはいかない。ふだんは切り落とし、つまり、こま切れである。そこで、いかにおいしく食べるか、というわけで、ソースやタレ、スパイスには大いに関心がある。買い物のついでにスーパーの棚をあさり、いくつかを試してもみた。そんな中にステーキ用のもので、一本の袋の中に五〜六種類のスパイスの入ったのがあった。今はそれを愛用しているが、よく切らしてしまう。ある時、しかたなく塩だけでやってみた。悪くはなかった。
 そんな折テレビで、フランス料理のコックさんが肉をていねいに焼いてソースを作りながら、「和牛のように、あぶっただけでそのまま食べてもおいしいものには、こんな手間暇をかける必要はないのですがね」と言っているのが耳に入った。驚くとともに、なるほどとも思った。同時に、大航海時代のインド航路のことが思い浮かんだ。繊維製品を積んでインドに行った船の帰りの仕事は、いろいろなスパイスを積んで帰ることだったという。さすがは味にうるさい文明国、と最初は思ったものだったが、よく読んでみると、スパイスは防腐剤であり消臭剤なのであった。冷蔵庫がなかった時代の話である。つまり、スパイスは肉を長持ちさせ、臭みを消すために用いられ、広く求められていたのだ。
 これらを考え合わせると、仮にステーキであっても、ソースやスパイスにこだわる必要はなさそうだ。料理においては、要は材料をどう生かすかであろう。実際、私はいつのまにか、安物の肉のときはスパイスを振りかけ、値の張る肉のときは塩だけで食べるようになっている。時には、薄っぺらな肉をフライパンでちょっと焦がして、一枚ずつ小皿のしょうゆにつけて、あるいは、これにユズを滴らせて食べることもある。和風ソース、液体スパイスもなかなかいいものである。

この答案の筆者は大学3年の男子です。
質素な暮らしの中での工夫という様子から、
好感のもてる人柄が浮かんできます。
課題に沿って、思うところを淡々と書き記しています。
スパイス礼讃、というわけではありませんが、
会社にとっては参考になる内容でしょう。


「薬と私」(ツムラ)という課題もあります。
「スパイス」や「薬」のところを「○○○」とし、
そこに会社名や業種、商品名などを入れてみると、
自分の方向が見えてきます。


A 「当社への提言」

(時間90分、字数1,000〜1,500字 : 新日本石油、資生堂、他多数)

「産業界の変容に商社はどう対応すべきか」(丸紅)、
これについての答案例を紹介します。

 日本は貿易立国である。それも、加工貿易によって成り立っている。原料を輸入し製品を輸出する。かつて、その輸入と輸出の双方の中心は商社であった。特に戦後の十数年は「安かろう悪かろう」といわれた製品を売りながらの活動であった。日本の復興の一翼を担う立役者であったといってよい。ところが、高度経済成長が始まる頃から、自動車や家電などのメーカーは外国に販売会社を作って直接販売をするようになった。近年では現地生産を行うようにもなり、国内では「産業の空洞化」現象も起きている。これに伴って商社の輸出業務は減少した。輸入面においても、日本では流通経路にいくつもの問屋が入ることから、商社もその一つとして外国の批判にさらされている。今や商社は存在意義をさえ問われかねない状況に置かれている。
 このような状況下にあっては、商社は自ら生産を行い販売をするのが最善の策であろうと思われる。ただし、生産といっても工業分野でではなく、農業分野においてである。工業分野では新規参入が技術面で難しいというばかりでなく、公害問題等との関係もあって生産は頭打ちになるだろうと予測されるのに対し、食料需要には際限がなく、しかも、21世紀には世界人口の増大に伴う食糧危機が懸念されてもいる。既に、ある商社は南洋諸島のある国でカボチャを栽培しているとも聞く。なるほどとは思うが、21世紀の食糧事情を考えれば、カボチャでは少々物足りない。そこで、主食の生産を優先課題に考えて一つの提案をしてみたい。
 世界の主食は大別して米と小麦である。幸い、日本には米作りにかけては高度の技術がある。商社はこの技術を、特に発展途上国に紹介し、未開地を開拓して現地生産を行うのである。タロイモを主食にしている国でも、米が容易に手に入ると分かれば、食生活を切りかえるだろう。問題は投資と利益をどう考えるかである。商社は利益を上げなければならない。だからといって、かつての欧米列強のようなプランテーション方式を採ることはできない。そこで考えられるのがO.E.C.D.やO.D.A.である。水田の開拓と整備にはこれらの援助が期待できる。食糧危機に備える事業であれば、大義名分はじゅうぶんに立つ。そして、これらの援助分を現地人の持ち株に換え、残りの設備や当座の運転に要する資金は商社が負担して商社の持ち株分とする。生産にはもちろん現地人が当たり、販売は商社が担当する。現地の需要を満たした上で、余剰分は他地域に販売する。
 以上、これは提言の一つである。というのは、商社は転換期にあるとはいえ、その本質はべンチャーであり、その精神をもってすれば、市場は如何様にも存在すると考えられるからである。市場開拓が商社の原点であろう。したがって、初心に返って世界に目を向け、可能性が見えればアタックしてみること、それが最良の対応のしかたであろうと思われる。それが商社の魅力でもある。

会社への提言となると、
その会社の業務や業界について知っていなければなりません。
「○○○と私」から一歩踏み込んで調べておく必要があります。
ただし、
会社や業界についての「解説」に終わってはいけません.。
大事なのは、「自分の考え」を述べること、
「アイディア」を出すことです。


「スパイスと私」「当社への提言」は
当道場主著『論作文の奥義』(一ツ橋書店刊)
からの転載(一部加筆)です。


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松の芽吹き(群馬・吹割渓谷)