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光る文章講座

大学入試の小論文


―― 理系・医系 ――
   はじめに
@ 「バイオテクノロジー」
A 「DNAと遺伝子」
B 「幹細胞」(ips細胞)
C 「改正臓器移植法」(1)(2)
D 「薬物」
E 「摂食障害」
F 「受動喫煙」
G 「結核」
H 「糖尿病」
I 「医療ミス」
J 「医師のあり方」
K 「自己評価」
   ………………………………
付:「科学教育を豊かにするために」

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「作文打出の小づち」
総もくじ
作文編  国語編  小論文編  閑 話



はじめに

サブタイトルを「理系・医系」としたが、
ここでは同一人物の答案によって足跡をたどってみたい。

Aさんは中1のころから道場に通い始め、
初めは主に学校生活や家庭生活のことを書いていた。

小さいころから「お医者さんになりたい」と
漠然と思っていたようだが、
高1の終わりに進路選択を迫られると、
きっぱりと医系の道を選んだ。

そこで、作文・論文の課題は、時事的なものの中から、
医療・医学に関するものを選ぶようにした。
上記のほかにも、
「インフルエンザと予防」、「狂犬病」(感染症)、「免疫」、
「ケータイ電磁波の影響」、「口蹄疫」について、
また、その間に
「COP15」(地球温暖化対策会議)、「核兵器の廃絶」
などについても書いている。

医療問題を医学の世界に限定せず、
広く社会の中でとらえるようにしたわけだが、
書きぶりにも変化が現れた。
上記の@〜Bに見られるように、文章が緻密なのである。
緻密さは医師の要件である。
優れた医師になるであろうことが予感される。

結果として、
3つの大学の医学部に現役合格を果たした。
こちら


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@ 「バイオテクノロジー」

はじめの答案 添削例・諸注意
 私は今、現代社会の授業でクローンについて学んでいます。クローンは生物学的に「同一の遺伝子をもつ生物」と定義されています。遺伝子の本体はDNAでできており、DNAはデオキシリボースという糖・塩基・リン酸を一つずつ持つヌクレオチドという一つのかたまりを基本単位とし、それが多数つながったものです。DNAの塩基にはチミン、アデニン、シトシン、グアニンという4種類が存在し、それらの配列によって遺伝子の特徴が変わってきます。また、DNAは二重らせん構造という形で存在します。これは、チミンはアデニンに、シトシンはグアニンに結合すると決まっていて、結合したもの同士がつながり、ねじれた状態になっているため、そう呼ばれています。人間には23本の遺伝子が存在しますが、23本全ての遺伝子が二重らせん構造をとっています。
 人間の遺伝子数は「2n=46」と表します。子どもは父親からn、母親からnもらって、2nとなります。兄弟姉妹は同じ遺伝子をもらっていますが、遺伝子の組み合わせは6,400億通りあるので、兄弟姉妹同士で全く同じ遺伝子をもつ可能性は極めて低くなっています。つまり、クローンになることはほぼないに等しいのです。しかし、例外があります。一卵性双生児です。双生児には一卵性と二卵性がありますが、一卵性とは、一つの受精卵が成長していくうちに二つに割れてしまうことで、二卵性とは、受精卵が同時に二つできてしまうことです。二卵性の場合は遺伝子が違うため、全然似ていない子どもが生まれますが、一卵性は遺伝子が全く同じなので、クローンの状態で生まれてきます。しかし、一卵性といっても、育つ環境によって、性格や考え方は異なってきます。

 今日のバイオテクノロジーは、人間が遺伝子の操作をできるところまで進んできました。その例がデザイナーチャイルドです。これは、受精卵の遺伝子をいじり、親が好んだ子どもを産めます。例えば、両親とも日本人であっても、子どもの髪はブロンド、目はブルーといったふうにできます。この遺伝子操作を行うことによって、受精卵から病気の遺伝子を取り除くこともできます。まだ多くの国ではこれが認められていませんが、世界で認められるようになったら、障害児が生まれなくなるかもしれません。
 授業で見たビデオによると、アメリカに自分のクローンを作りたいと願っている女性がいます。その人は病気のため、1日に異常なほどの量の薬を飲まなくてはなりません。そして、薬の副作用で体重が50キロから90キロまで増えてしまったそうです。その人は薬を飲まなくては死んでしまうけど、その姿で生きていくのは嫌だから、自分の代わりにクローンに生きてほしいということでした。

 バイオテクノロジーの進歩によって私たちの生活は豊かになるかもしれません。しかし、その反面、バイオテクノロジーを使うには、多額の費用がかかるため、上級層の人しか利用できず、金銭面以外での格差を生む可能性があります。ビデオで見たアメリカ人女性の場合、いくら自分の遺伝子と全く同じクローンを作っても、同じなのはDNAの塩基配列だけで、性格も考え方もその女性とは異なる人間ができてしまいます。だから、クローンが残っても、その女性が残ったことにはなりません。
 もし、誰でもバイオテクノロジーを利用することができるのなら、自分や自分の親などのクローンを作るのか、自分の子どもの遺伝子を勝手に操作するのかなどは、これからバイオテクノロジーが進歩していく中での、人間がかかえる大きな問題です。それを無視すると、いつの間にかバイオテクノロジーが一人歩きをして、自然の姿が見失われる日が繰るのではないかと思います。

               (以上、約1500字)







← ……グアニンの4種類が……






← ……存在しますが、その全てが二重らせん構造を……





















← 受精卵の遺伝子を操作することによって




← 多くの国ではまだこれが認められていませんが、






















※ バイオテクノロジーはどう利用するのがよいか。
 いろいろ問題があるというに留めず、それについての自分なりの考えを示して締めくくろう。


第4段落までは、授業の内容を
よくぞこれだけ理解したと思えるほどに、よく書けている。
第5段落までは表現を若干直せばよい程度なので、
結論部だけを書き直すことにする。

書き直した答案 添削例・諸注意
〔 結論部ー第6段落 〕

 バイオテクノロジーを誰でも利用できるようになったら、病気の遺伝子を取り除くことができるので、人間社会に大いに役立つでしょう。しかし、どのようにでも操作できるからといって、親の好みで子どもを作るというのは、道徳的に許されることではないでしょう。そう考えると、バイオテクノロジーは何より生まれてくる子どものことを考えて利用されるべきだと思います。


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A 「DNAと遺伝子」


この小論は前項の「バイオテクノロジー」の姉妹編として書かれている。
前半(第4段落まで)は、自分が理解したことがらの論述であるから、
知識の整理をするには大いに役立とう。

はじめの答案 添削例・諸注意
 DNAは高等な動物が持つ二つの核酸のうちの一つで、デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)です。DNAは動物の本体だとよく言われますが、これはDNAが遺伝子の元となっているということです。
 DNAが二重らせん構造をとっているのは有名ですが、ワトソンとクリックという人がこれを証明しました。DNAはこの構造をとることにより非常に安定した状態になっています。二重らせん構造を拡大すると、たくさんの塩基・糖・リン酸が連なっているのを確認できます。DNAの塩基にはチミン、アデニン、シトシン、グアニンが存在します。糖はデオキシリボースというものです。塩基・糖・リン酸一つずつを一組としたものをヌクレオチドといい、DNAの単位となっています。ヌクレオチドは自分のリン酸と隣りのヌクレオチドの糖と結合し一本鎖を作ります。すると、たくさんの塩基対が一直線上に並びます。そこに、アデニンに対してチミン、シトシンに対してグアニンを持ったヌクレオチドが塩基同士で結合し、二本鎖を作ります。この塩基の組み合わせを塩基の相補性といいます。二本鎖がねじれると、DNAの二重らせん構造になります。DNAは一つあたり2メートルほどになるので、ヒストンというものに巻きついて安定を得ています。。
 DNAで最も重要なのは、塩基配列です。この配列が1か所でも違うと、本来と違う形質を成します。例えば、通常の赤血球は球がつぶれたような形をしていますが、鎌のような形になり、鎌状赤血球と呼ばれるものになります。DNAの塩基配列の中にはトリプレットと呼ばれる3つの塩基の組があって、このうちのアミノ酸を示すものをコドンといいますが、コドンのうちの1つでも塩基が変わるとアミノ酸が変わり、アミノ酸の結合によってできるタンパク質が変わってしまいます。こういったふうにして、ふつうの赤血球が鎌状になります。なお、鎌状赤血球は破裂しやすいという欠点がありますが、赤血球に住みつくマラリア原虫は鎌状赤血球には寄生できないため、マラリアの流行っている地域では有利だという利点があります。
 では、DNAが遺伝子の本体というのはどういうことなのでしょうか。DNAからタンパク質を合成する時に、もう一つの核酸のRNAを経由します。核が核膜で覆われている真核生物では、核内でDNAと同じ塩基配列のRNAが作られる転写という作業が行われます。このRNAには必要な部分のエキソンと、必要でない部分のイントロンとが存在し、イントロンを取り除くスプライシングが行われます。スプライシングを受けたRNAはmRNAと呼ばれ、核膜の穴(核孔)を通って核の外へ出て、リボソームと結合してタンパク質を作ります。遺伝子はエキソンだけからなるDNAですが、mRNAを遺伝子と呼ぶこともできます。
 遺伝子は現在、人が操作することが可能となりました。その結果、ジャガイモやトウモロコシ、大豆などの遺伝子遺伝子組換え作物ができ、また、2つの異なる種の遺伝子を融合させたラバのような動物も作られています。
 動物の本体はDNAであるというのは簡単なことですが、その本体から1つの固体を作るのは複雑で驚異的なことです。しかし、人間の指令なしで複雑な働きをするDNAはふしぎでもあり、面白くもあります。

              (以上、約1400字)


←※ 「もう一つはRNA(ribonucleic acid)と呼ばれています」と補っておこう。後半が理解しやすくなる。






← 糖はデオキシ糖という……
















← ……になります。これは塩基配列が違っているためです。DNAの塩基配列の中には……




※ 「なお、……」の一文は削除しよう。



















← ……大豆などでは、遺伝子組換え作物ができ、

※ 遺伝子組換え作物の当否について検討して締めくくりとしよう。


前回同様、結論部だけを書き直すことにする。

書き直した答案 添削例・諸注意
〔 結論部 − 第6段落 〕

 ラバのことはともかく、例えば大豆を使った食品の袋の原料欄には「大豆(遺伝子組換えでない)」と言う表示が見られます。遺伝子組換え作物を使った食品は人体に影響はないと思われますが、特に日本の消費者にとっては、不安なのでしょう。それが安全であると認められるにはまだまだ長い年月がかかるのかもしれません。


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B 「幹細胞」(ips細胞)

はじめの答案 添削例・諸注意
 現在医療で注目されている一つに、幹細胞による再生医療があります。幹細胞というのは未分化な細胞で、自己複製ができ、組織を構成することができます。幹細胞にはES細胞、組織幹細胞、ips細胞などがあります。
 ES細胞は胚性幹細胞とも呼ばれ、哺乳類の受精卵が分裂して胚盤胞になったとき、将来胚となる部分を取り出し、無菌的に培養することによりできます。ES細胞はあらゆる体細胞に分化する能力、つまり、全能性をもっています。ES細胞の利用としては、すい臓のランゲルハンス島に分化し糖尿病の治療となるものや、心筋梗塞の治療のために心臓細胞に分化させるものがあります。しかし、問題点は、ES細胞は不妊治療より生じた余分な受精卵から作られたものだから、子宮に戻すと一人のヒトが誕生してしまう可能性のあることです。倫理上の問題があると言われています。そして、もう一つの問題は拒絶反応が起こることです。いくら未分化な状態とはいえ、ある程度成長してしまっている細胞なので、他人の細胞を拒絶してしまいます。そこで、患者の体細胞を予め除核した卵に移植してES細胞を作る核移植が有効であると発表されましたが、この方法では生じた分化細胞に異常がないか検査できないという問題が生じました。
 組織幹細胞とは、生殖細胞以外の体細胞を作り出すもので、出生後の体の各部に存在します。組織幹細胞の中でも注目されているのが、血球を作る造血幹細胞と骨を作る間葉系幹細胞です。この2つは患者に大きな負担を与えずに採取でき、また、他の細胞に分化できる能力をもっています。組織幹細胞は患者本人のものを使うので、拒絶性は示しません。
 ips細胞は成人の皮膚細胞から人工的に作成したものです。誘導多能性幹細胞とも呼ばれ、その名の通り様々な細胞に分化することが可能です。この細胞は、2,007年に京都大学の山中伸弥教授を中心とする研究チームによって発表されたもので、ES細胞と違い、成人の体細胞から作られたものなので、拒絶性を示しませんし、倫理上も問題ないとされています。これまでES細胞が万能細胞と呼ばれていましたが、今やこの名はips細胞に取って代わられています。大いに注目されていますが、作成時にウィルスの運搬係として4つの遺伝子を体細胞に導入するため、ウィルスによる病原性の残る可能性があります。
 これからの医学界では、再生医療がより注目されてくると思います。そして、やがては今ある幹細胞よりも多能なものが現れるでしょう。しかし、同時に医療上の問題はもちろん、道徳を問われる問題も出てくるでしょう。いずれにせよ、技術の発展に流され、非人間的なことにならないよう注意しなければなりません。
 
             (以上、約1200字)
 










← ……利用法としては、糖尿病の治療のためにすい臓のランゲルハンス島に分化させるものや、心筋梗塞の……
← しかし、問題点もあります。一つは、ES細胞は不妊治療の……
← 倫理上の問題があります。もう一つの問題は……





























← ……可能性があり、これが今後の課題となっています。

3種類の幹細胞について手際よく説明されている。
第2段落の字句調整をして仕上げとしよう。

書き直した答案 添削例・諸注意
〔 第2段落 〕

  ES細胞は胚性幹細胞とも呼ばれ、哺乳類の受精卵が分裂して胚盤胞になったとき、将来胚となる部分を取り出し、無菌状態で培養することにより作成できます。ES細胞はあらゆる体細胞に分化する能力、つまり、全能性をもっています。ES細胞の利用法としては、糖尿病の治療のためにすい臓のランゲルハンス島に分化させるものや、心筋梗塞の治療のために心臓細胞に分化させるものがあります。しかし、問題点もあります。一つは、ES細胞は不妊治療より生じた余分な受精卵から作られたものなので、子宮に戻すと一人のヒトが誕生してしまう可能性のあることです。これには倫理上の問題があります。もう一つの問題は、拒絶反応が起こることです。いくら未分化な状態にあるとはいえ、ある程度成長してしまっている細胞なので、他人の細胞を拒絶してしまいます。そこで、患者の体細胞を予め除核した卵に移植してES細胞を作る核移植法が発表されましたが、この方法では、作られた分化細胞に異常がないかどうか検査できないという問題があります。


この小論が書かれたのは'10年8月のことであるが、
懸念されるips細胞の「ウィルスによる病原性の残る可能性」について、
’11年6月現在、新聞報道によれば、
「山中教授の研究グループは、がん遺伝子などをもつ細胞を排除して、
皮膚細胞などを作製することに成功した。近々、”Nature"誌に発表される」
ということである。(6月9日付:読売新聞)

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C 「改正臓器移植法」(1)(2)


この小論は2回にわたって書かれた。

その(1) 添削例・諸注意
 今年の7月に改正臓器移植法の改正案が施行されました。今回改正された主な点は、家族の承認だけで臓器の摘出が可能になったこと、脳死を人の死とすること、親族への優先提供ができることなどです。これにより、臓器の提供数が以前より増えることが見込まれます。
 臓器移植法が改正される前は、心臓死が人の死とされていましたが、改正後は、脳死が人の死となりました。心臓死とは、心臓が停止してしまうことです。脳死とは、延髄橋、中脳、間脳、つまり、大脳と小脳を除いた部分が機能しなくなってしまうことです。延髄橋、中脳、間脳をまとめて脳幹といいますが、脳幹は生命維持に欠かせないものです。そのため、脳死になると、やがて不可逆的に心臓死へと変わっていきます。しかし、脳死には特徴があり、脳死になってから心臓死になるまでにしばらく間があるため、その間心臓は動き、自発的呼吸もあります。そこで、脳死を人の死として受け入れられない遺族の多いことが問題となっています。
 改正臓器移植法での大きな改正点は、臓器提供の年齢制限を撤廃したことです。それまで、15歳未満の人からの臓器提供は認められていませんでした。改正法では本人の拒否が明確に示されていない限り、家族の同意で提供できるようになりました。
 今回の改正法が施行された日から翌日にかけて、摘出と手術が行われ、臓器移植の機会が大きく広がりました。しかし、法律が改正されたからといって、問題が解決したわけではありません。実際の手術とその経過を見て問題がないか、法律に穴がないかなどを見極めていかなくてはなりません。

              (以上、約650字)
← 平成22年7月に改正臓器移植法が施行されました。













← しかし、脳死になってから心臓死に至るまでに……











※ なぜ、それまで15歳未満の人の臓器が提供されなかったのか、また、それが改正法ではどうなったかについても明らかにしておきたい。

これは主に提供者(ドナー)についての説明であるため、
受領者(レシピエント)側の事情も明らかにして、
改正の経緯を補完することにした。

その(2) 添削例・諸注意
 新臓器移植法の改正点の一つに、ドナー側の年齢制限の撤廃がありますが、改正前は15歳から意思表示カードを持つことができました。なぜ14歳以下ではそのカードを持つことができなかったのかというと、14歳以下では本当に自分の臓器を提供してもいいのか正しく判断できないということや、子どもの患者で一度脳死と判定されても、後に自発呼吸を回復し得るということのためでした。
 心臓を移植するときの条件は、ドナーとレシピエントの体重差がマイナス20%〜プラス30%の範囲でなくてはならないことです。範囲外だと心臓のサイズが合わないため移植できません。しかし、成人のドナーにこの条件を満たす人がいても、レシピエントが未成年の場合、ドナーも未成年のほうが術後の生存率が高いというアメリカの発表に基づき、実際は小児患者には小児をドナーとしていました。このようなわけで、改正後の今も、18歳以下のドナーは18歳以下のレシピエントにという声が上がっています。
 肺を移植するときの条件は、ドナーの身長からレシピエントの身長を引いた値をレシピエントの身長で割り、百分率で表したもので決定します。片肺のみならマイナス12%〜プラス15%の範囲、両肺ならマイナス12%〜プラス12%の範囲を満たさなければなりません。
 患者の中には、心臓や肺を移植しなければ助からない人がいます。この法律が改正される前、日本には子どものドナーがいませんでした。そのため、肺や心臓の移植を受けなくては生きられない子どもの患者はアメリカやドイツに行かなければなりませんでした。しかし、WHOが、渡航先の国民の臓器移植の機会を減らしてしまうという理由で、渡航移植に規制をかけると発表しました。その流れで、アメリカでは年間移植数の5%までしか外国人患者を受け入れなくなり、ドイツでは完全に外国人患者を受け入れなくなってしまいました。実際にアメリカへの渡航移植が断られている例があり、「既に今年の5%枠は埋まっている」と言われたこともあったそうです。
 このような状況において、15歳未満の子どもでも、親の承諾により臓器提供ができるという今回の改正は、患者たちにとって大きな喜びでしょう。この改正をうまく生かして、多くの人が助かればいいなと思います。

                (以上、約900字)












← ……移植できません。また、仮にこの条件を満たす人がいても、アメリカでは成人のドナーと未成年のレシピエントの組み合わせでは術後の生存率が低いという発表もあって、実際は小児患者には小児ドナーを充てていました。このようなわけで、……










← そのため、心臓や肺に疾患のある子どもはアメリカや……


これで、改正の経緯が明らかになった。


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D 「薬物」

大麻などの薬物はなぜ禁止されているのか。
この小論ではその解明に努めている。

はじめの答案 添削例・諸注意
 今年の夏は、酒井法子や押尾学の薬物問題が世間を騒がせました。二人が芸能人であったから、1か月以上にも渡ってマスコミに取り上げられていましたが、ニュースとして取り上げられなくても、社会では何百人もの人が薬物乱用で捕まっていると言われます。
 薬物にはアヘンやモルヒネ、ヒロポン、MDMAなどがあり、タバコやアルコールも薬物に含まれます。モルヒネやヘロイン、コデインなど、ケシの実から抽出されるアルカイドを合成したアヘン剤のことを麻薬といいますが、法律の有無を問わず、広い意味で脳内の神経伝達物質に作用し、快楽や幻覚をもたらすものを麻薬と呼びます。だから、タバコやアルコールもこの意味では麻薬の一つとなります。
 症状の例として、MDMAでは体温の乱れ、モルヒネでは呼吸抑制や眠気、便秘、嘔吐、大麻では血圧上昇、散瞳、発汗の活発化、のどの渇きなどがあります。特に大麻は甘い匂いがするようで、長期間使用すると衣類に匂いが付きます。そして、どの薬物にも依存性があります。アヘン、コカイン、覚せい剤は特に依存性の強い薬物です。依存性は、摂取した薬物が分解、排泄されて体内で減少すると起こります。そうなると、イライラするようになり、自我を抑えられなくなります。この症状が起こると、再び快楽を求めるようになります。一度薬物を体験すると、やめられなくなるのはこのためです。薬物の中には、使っているうちに効き目が薄れて、以前より快楽を得られなくなるものがあります。すると、以前と同じか、それ以上の快楽を求め、使用量や使用回数が増えていきます。最終的には依存という精神的病いだけでなく、目がうつろになる、眠気がする、歯が溶けたり黒くなったりするなど、身体に影響を及ぼすようになります。
 一般に、薬物を使用、または所持していると逮捕されますが、医師は患者の痛みを緩和するために使うことができます。しかし、使うには免許が必要で、免許を持っているからといって、いつでも使えるわけではなく、患者が薬の副作用などでとても苦しんでいる時などに、最終手段として用いられます。
 薬物は自分に関係のないように思えて、意外に身近な存在です。最近では子どもの小づかいで買える値段になっていたり、かわいいデザインのものがあったりして、中学・高校生の使用者が増えています。薬物を使うと、家族や友人を失うことになります。大人では社会的地位も失います。その上、薬物依存から脱したとしても、いつ依存症が再発するか分からず、また、その時に自制できるか分からないので、死ぬまで完全に回復したとは言えないと言われます。
 これらのことを考え合わせると、薬物の誘惑があったときには、はっきりと断る勇気が必要だと思います。

              (以上、約1200字)
←※ 平成22年夏は、





※ ヒロポンは覚せい剤、MDMAは合成麻薬(エクスタシー)。































← ……免許が必要で、また、免許をもっているからといって、……最終手段としてしか使うことができません


← ……デザインのものがあったりするため、
← ……増えています。軽い気持ちで手を出しているのでしょうが、薬物を常習するようになると、家族や友人を……

若干の表現に注意すればよいだけなので、
書き直しはよしとしよう。

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E 「摂食障害」

はじめの答案 添削例・諸注意
 摂食障害は精神病の一つで、主に過食症と拒食症があります。この摂食障害は17世紀後半にイギリスやドイツで注目され始め、第2次世界大戦後に急増したと言われています。摂食障害には女性の患者が多く、ストレスが原因となっているケースが多いです。
 まず、過食症とは、大量に食べては吐くのを繰り返すというのが一般的に知られている症状ですが、食べても吐き出す前で止めてしまって吐かないという症状もあります。この場合は、吐かないため、体重が急増し、体形も変わるので、周囲の人が気づくことができます。しかし、食べた後に吐く人は体重が増えにくいので、周囲に人にあまり気づかれません。過食症の原因の一例としてダイエットが挙げられます。これは、痩せるために食事を我慢し、その反動でむちゃに食べてしまうが、痩せるために吐くという悪循環に陥っている例です。他にも、周囲の人との人間関係によるストレスが原因になることもあります。
 次に、拒食症とは、食べ物を異常なほどに拒み、異常に痩せる症状のことです。原因例は過食症と同じで、主にダイエットによるものです。気軽に始めたダイエットがエスカレートし、じゅうぶん痩せているのに満足できず、体重を減らし続けてしまいます。アメリカでは女性の拒食症が問題になっていて、CMにもなっています。その内容は、ある女性が自分の姿を見ていて、自分は太っていると思っているのですが、実はガリガリに痩せているというものです。日本でも、CMにはなっていませんが、拒食症に悩んでいる人が少なからずいます。
 摂食障害の恐ろしいところは、1人ではなかなか脱け出せないことと、過食症から拒食症、拒食症から過食症へと繰り返してしまう恐れのあることです。イギリスのダイアナ王妃や、アメリカの歌手でカーペンターズのカレン・カーペンターも摂食障害に悩まされていたということです。対策の一つは、無理なダイエットをしないことです。

              (以上、約900字)




← ストレスが主な原因となっています。





← ……気づくことができます。これに対し、食べた後に


摂食障害が精神病であるとすると、ダイエットをしようと考えることが
その第一歩ということになる。


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F 「受動喫煙」

はじめの答案 添削例・諸注意
 たばこは昔からあり、今も日本で普及しています。たばこにはいろいろ問題がありますが、今問題となっているのは、歩きたばこやたばこのポイ捨てです。以前より少なくなりましたが、街ではまだ吸殻が落ちているのや、火のついたたばこを持ったまま歩いている人を見かけます。武蔵野市では5、6年前に駅の近くに喫煙所が設置され、たばこはここでしか吸えなくなりました。喫煙所の近くに行くと、けむたく感じますが、歩きたばこをする人はとても減りました。
 たばこにはニコチンやコカールをはじめとして有害物質が何種類も含まれていて、人間の健康に害を及ぼします。喫煙には2種類あります。一つは、吸っている本人が煙を吸い込む喫煙で、もう一つは、吸っている人が吐いた煙を吸う受動喫煙です。驚いたことに、体に多くの害を受けるのは受動喫煙者のほうだそうです。喫煙者の家族は肺がんになるリスクが高いと言われます。
 最近騒がれているのは、たばこの値上がりについてです。これはたばこ税が高くなったためですが、これをきっかけに禁煙する人が増えるのではないかと推測されています。そうなると、ポイ捨てや歩きたばこはさらに減り、受動喫煙する機会も減ると思います。
 受動喫煙者は自分の責任でないのに、がんになる危険にさらされています。喫煙者には値上がりをきっかけに禁煙するか、少なくとも、受動喫煙の危険を理解して、たばこを吸わない人に気を配ってほしいものです。

              (以上、約800字)






←※ 東京・武蔵野市では
← 駅の内外ではたばこはここでしか…… 

← ……をはじめとして、人間の健康に有害な物質が何種類も含まれています。






←※ 平成22年4月時点で話題になっているのは、


以上、趣旨・主張はよく分かるので、
これは書き直すまでもないだろう。


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G 「結核」


消滅したと思われていた伝染病が潜行しているようだ。

はじめの答案 添削例・諸注意
 結核とは結核菌による病気で、肺に入れば肺結核、腸に入れば腸結核といわれ、様々な組織で起こりうる病気です。結核の中でも多く見られるのが肺結核で、テレビでよく見る吐血はこれです。結核の症例のほとんどは、以前の感染が再活性化したもので、最も危険性の高い患者は、糖尿病や悪性腫瘍にかかったり、栄養不足になったりしている人です。
 昔、結核は不治の病として知られていましたが、抗生物質による治療やワクチンによる予防によって、結核は治せる病気となりました。20〜30年前に沈静化したと考えられていましたが、最近復活の兆しを見せています。
 復活の理由として三つが挙げられます。一つ目は、以前の感染者が保有する菌の再活性化によるもので、老齢層に最も多く見られます。二つ目は、ツベルクリン検査が義務でなくなったことです。以前、義務付けられていた頃は、陽性反応がない人はBCGというワクチンを摂取していました。しかし、検査が自由化してしまったために、自分が結核に対する抗体をもっていないことを知らず、ワクチンを接種しない人がいるのです。三つ目は、抗生物質に対抗できる菌が出てきたことです。インフルエンザウィルスを例に挙げると、このウィルスには型がいくつかあり、また、変化していくので、次々と新しいワクチンを作っていかなくてはなりませんが、間に合わないのと同じです。
 流行の仕方には二種類あり、一つ目は、老齢層の人が保有している菌が再活性し、それが若年層に感染することです。二つ目は、新しい型の結核菌が生まれて、抗生物質が生産される前に感染が広がってしまうことです。
 日本での復活の兆しはこのような流れですが、中国やインド、べトナムなど、衛生状態の悪い国では違います。これらの国では栄養不足の人が多く、結核菌に対する体力がないために感染する人がほとんどです。そして、直したくても薬代がないために感染したままになり、そのうちに他の人に感染して広がっているような状態です。戦時中の日本もこのような状態でした。
 結核は中国などでは稀な病気ではありませんが、日本では撲滅可能とされています。今、日本での感染の縮小化で大事なのは感染者を完治させることと、まだワクチン(BCG)を摂取していない人には摂取させることです。私もまだ摂取していないので、早めに摂取し、十分気をつけようと思います。

              (以上、約1,000字)



← これによるものです。














← BCGというワクチンを接種して免疫状態にしていました。






← 間に合わない場合もあります。結核についてもこれと同じです。
← ……二種類あります。一つは、……、もう一つは、……。



← 衛生状態の悪い国では様子が異なります。

事態を広く、かつ、具体的に捉え、
叙述も実に手際がよい。
最後の一文には自覚のほども窺われる。


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H 「糖尿病」

はじめの答案 添削例・諸注意
 11月14日は「世界糖尿病デイ」です。この日は、世界中でブルーライトという青い輪が点灯されます。日本では、東京では東京タワー、神奈川では鎌倉の大仏、長崎では平和祈念像、北海道では札幌の時計台で、それぞれ点灯されます。ブルーライトは糖尿病撲滅キャンペーンのシンボルであるブルーサークルに因んだものです。このサークルは、世界中が一つの輪になって糖尿病を撲滅しようという意味があります。
 尿検査と血液検査で、食前と食後2時間の2回、尿糖と血糖の量を調べることによって糖尿病かどうかが分かります。血糖の場合、血糖量が食前110mg未満、食後140mg未満だと正常型で、食前126mg未満、食後200mg未満だと境界型です。食前126mg以上、食後200mg以上だと糖尿病と診断されます。
 糖尿病は暴飲暴食、運動不足が主な原因です。遺伝によって糖尿病になってしまう人もいます。糖尿病が進むと、腎臓が悪くなったり、手足が腐ったりします。腎臓が悪くなると、尿が出なくなります。放っておくと老廃物が体に蓄積していき、死ぬ可能性があります。手足が腐ると、腐った部分が黒くなります。腐った部分の拡大を防ぐためにはその部分から先を切断しなくてはなりません。何より怖いのが動脈硬化です。糖尿病が進んでいない人でも、動脈硬化の危険性は高く、糖尿病の主な死因となっています。心臓は最も動脈硬化を起こしやすい場所で、ポンプの役割を果たす心臓がやられると、体中に血液が送られなくなり、死に至ります。その他、糖尿病の症例として、母体が糖尿病だと生まれてくる子が平均よりも大きな巨大児が生まれてくる可能性があります。
 私は、両祖父が糖尿病なので、どちらの遺伝子も受け継いでいます。遺伝子をもっていると、少しでも暴飲暴食をすると、糖尿病になりやすいということですから、私は食事に気をつけ、じゅうぶんな運動をしなければなりません。
 糖尿病は世界共通の病気であり、日本では6人に1人がこの病気にかかっています。糖尿病予防の1つとして、糖尿病にかかっている人がそうでない人に、気をつけるよう呼びかけると効果があるのではないかと思います。

              (以上、約900字)













※ ここは診断例なので、尿検査のことには触れなくてもよい。このままでよい。

















◎ 自分を例にしているのがよい。自分の心がけが自然に説得力を生んでいる。


良質の解説書を読んでいる趣がある。


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I 「医療ミス」

二度目の答案 添削例・諸注意
 最近、解剖の必要のない死者を、必要のある死者と間違えて解剖してしまったという、取り違えミスがありました。これは死者の場合のミスですが、病気の治療となると、ちょっとしたミスも許されません。患者の命取りにつながるからです。
 過去には次のような医療ミスがありました。一つは、横浜の病院で起きたミスです。これは、肺の手術をする患者と心臓の手術をする患者をそれぞれ反対の手術室に送ってしまったというものです。二人の患者を手術室まで運んだのは、一人の同じ看護師でした。もう一つは、東京医科歯科大学附属病院で起きたミスです。これは、ある患者に普通の約10倍もの精神安定剤を投与してしまったというミスで、その患者は脳がダメになってしまいました。この患者には、主治医と助手の研究医、薬剤師の3人が関わっていましたが、3人とも量の多さに気がつきませんでした。
 これら二つの例に共通して言えるのは、確認不足です。どちらの場合も事前に確認していれば防ぐことのできたミスです。では、なぜ確認不足が起きるのでしょうか。その理由の一つとして、人手不足があります。中には、大学病院のように、設備が整い、人手がじゅうぶんな病院もありますが、他方では少人数で営んでいる病院もあります。人手が少なければ少ないほど、患者一人にかけられる時間が短くなり、医療従事者の疲れがたまるために、気の緩みの出て確認がおろそかになる恐れがあります。
 では、人手を増やせばいいのかというと、必ずしもそうではありません。人手を増やすのは簡単ではないでしょうが、増やしたところで注意力が確かになるとは限りません。その一つの証拠が、東京医科歯科大学附属病院でのミスです。人が多くても少なくても、大切なのは注意力です。チェックを二重三重にすることによって防げるミスはたくさんあると思いますが、その場合でも大切なのは一人一人の注意力でしょう。

              (以上、約800字)



← 患者の治療となると、























← ……短くなり、医師や看護師に疲れが……










「医療ミス」について、看護師の目から見たものもある。
こちらのIへ。


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J 「医師のあり方」

 次の文章を読み、医師のあり方について、あなたが考えたことを述べなさい。

 私のドイツ人の親友で、ベルリン市内に個人のクリニックを開いている女性医師がいる。彼女は、代々の医家に育ち、夫も父も兄弟も大学に勤めるドイツ現代医学の源のような家族構成の中に生きている。自らは腕のいい耳鼻科医で、ゾーリンゲンの刃のように切れる頭脳をもち、患者も多い。その彼女が最近東洋医学に興味をもってベルリン大学で開かれたセミナーに通った。そこで学んだことを早速臨床に応用して、アレルギーや難聴などに鍼や灸を用いて大変効果を上げているという。
 「モクウサは南アジアから輸入しているの。日本のはとても高い」
 はて、と一瞬頭をひねったが、すぐお灸に使うモグサとわかった。日本を訪ねた彼女と一緒に船で琵琶湖巡りをした時、モグサが名産の伊吹山を見ながらの話題である。めずらしく船酔いを起こした私が、吐き止めになるというコーラを買おうと自動販売機に向かったところ、
 「コーラみたいな近代的なものではだめよ。こうして手首のところから親指で三本分上、ここを軽く10回押すと吐き気は止まる」と、阻止する。
 しばらく後に、気持ち悪さは潮が引くように去ったが、彼女が指摘したツボが本当に効いたのか、彼女の自信に満ちたど迫力が効いたのか、私にはわからない。
 だが、現代医学の限りを尽くした治療でも治りきらない難病や癌などの病を抱え込んでしまった人が、何かに救いを求めるのは当然であろう。
 生薬や特別な食餌、温泉、鍼灸などによって癒しを授かる人もいるだろう。音楽や宗教などで精神的な支えを得て癒される人もあろう。

 16世紀に活躍したフランスの大外科医パレは、「私が治療し、神が癒し給うた」と言った。外科の祖とされるパレの謙虚な発言は、現代の発展した医療においても、いまだに医療者には思い言葉とされている。
 人には病気に打ち勝とうという、いわゆる自然治癒力が備わる。同じように告知され、外科的に同じ手法で手術を受けたとしても、治癒の経過はまったく同じではない。もちろんその人、その人によって体力が違うことは言うまでもないが、仮にほとんど同じであっても、生命の尽きる時が同じとは限らない。それは運命あるいは天命という古風な言いまわしのものに支配されて、各々の寿命は見えない摂理に委ねられている。
 外来の診察室に、末期にはいった癌の患者がやって来て、
 「これこれという療法があると聞いたが、いかがでしょう、やってもいいでしょうか」と相談された経験を、癌を扱うどの医師も持っている。
 その時、
 「良いと思われたならやってごらんなさい。でも、その療法については、どのくらい効くのかという根拠やデータがありませんから、私にはそれをやって良いとか悪いとかということをはっきりとは申し上げられないのですが……」と、医師たちは答えている。
 それらのほとんどにはEBM(Evidence-based Medicine) つまり医療を裏付ける根拠が得られていない。現代医学における治療の根拠とは、統計的に立証され、正確で、安全かつ有効なものでなければならないとされる。
 だが、現実には、例えば癌の末期と告知された人でも、自分が治ろうとする意欲によって、あるいは克服しようとする強い力を他の何ものかから得て、実際にそれが治ってしまう事例を、多くの医師が経験している。
             (比企寿美子『がんを病む人、癒す人』より)


2度目の答案 添削例・諸注意
 筆者は、「癌の末期と告知された人でも、自分が治ろうとする意欲によって、あるいは克服しようとする強い力を他の何ものかから得て、実際にそれが治ってしまう事例を、多くの医師が経験している」と述べている。
 私はそれと同じようなことをテレビで聞いたことがあり、自分も経験したことがある。私は39度の熱を出し、1日中寝込んでいた。前日からどうも調子が悪く、寒気がしていた。高熱のため、あまりにもつらかったので、翌日も学校を休むことになるだろうと思った。しかし、翌日には大事なテストがあることを思い出し、一生懸命治そうとした。できるだけ寝て、昼食をおかゆにした。一番効いたのが、水に浸したタオルを冷凍庫で凍らせたものだった。不思議と病気が快方へと向かった。治そうという気持ちによってタオルを凍らせるという考えが出てきたのだ。このような経験から、病気は自分の気持ちの持ちようで治るのではないかと思う。
 これに関して思うのは、人間には癒しが必要だということだ。癒しの方法は人それぞれで、読書やゲーム、音楽、映画、ペットなど様々であろう。だれにもそのような何かがあるだろう。たった一つでも癒しを持つことによって、気持ちが和んで力も湧いてくると思う。精神的な力があれば、ものごとに立ち向かう気力も湧いてくるだろう。病気に対する場合、その気力は大きければ大きいほど、病気に打ち勝つ度合いも高くなると考えられる。
 今日の医療は昔に比べ、ずいぶん進歩して、不治の病と言われた癌でも早期発見早期治療によって治せるように、治すことのできる病気が増えているが、私はパレの「私が治療し、神が癒し給うた」という言葉に共感する。私は患者さんに「私は全力を尽くして治療しますから、あなたも治るためにがんばってくださいね」と言える医師になりたいと思う。

              (以上、約800字)





← テレビで見聞きしたことがあり、




← 何としても治そうと思った。






















◎ 医師と患者の双方が互いに全力を尽くせば、神様が助けてくれるというわけなのだね。

ここで言う「神様」とは「自然治癒力」と解するのが妥当であろう。


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K 「自己評価」


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